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徳島地方裁判所 平成7年(わ)26号 判決

被告人

1

氏名 河野誠介

年齢

昭和二三年一一月一一日生

本籍

徳島市北田宮四丁目八六九番地の一

住居

同市北田宮四丁目一〇番一〇号

職業

会社役員

2

法人名 徳島カム株式会社

代表者名

代表取締役 河野誠介

本店所在地

徳島市北田宮四丁目一〇番一〇号

検察官

吉浦正明

弁護人

眞鍋忠敬

主文

被告人河野誠介を懲役一年二か月及び罰金一四〇〇万円に処する。

被告人徳島カム株式会社を罰金七〇〇万円に処する。

被告人河野誠介においてその罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人河野誠介に対し、この裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人河野誠介は、徳島市北田宮四丁目一〇番一〇号で徳島エンジニアリングサービスの屋号で各種カムの製造販売業を営んでいたもの、被告人徳島カム株式会社は、平成三年五月一日に設立され、同所に本店を置き、各種カムの設計及び製作等の事業を目的とするもの、被告人河野誠介は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括するものであるが、被告人河野誠介は

第一自己の所得税を免れようと企て

一  平成元年分の総所得金額は、五〇八三万一八一円で、これに対する所得税額は、二〇四八万四五〇〇円であったにもかかわらず、売上の一部を除外するなどの行為により、その所得金額のうち四一五〇万一二三七円を秘匿した上、同二年三月一五日、徳島市幸町三丁目五四番地所在の管轄徳島税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九三二万八九四四円で、これに対する所得税額が一二八万四〇〇円である旨の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成元年分の正規の所得税額二〇四八万四五〇〇円との差額一九二〇万四一〇〇円を免れ

二  平成二年分の総所得金額は、七三七六万二六五八円で、これに対する所得税額は、三一九七万一〇〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち六八五九万八六七九円を秘匿した上、同三年三月一五日、前記徳島税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五一六万三九七九円で、これに対する所得税額が三二万八六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成二年分の正規の所得税額三一九七万一〇〇〇円との差額三一六四万二四〇〇円を免れ

三  平成三年分の総所得金額は、二八八九万六一五二円で、これに対する所得税額は、九四二万四七〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち、一九八三万三二二二円を秘匿した上、同四年三月一六日、前記徳島税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九〇六万二九三〇円で、これに対する所得税額が一〇九万円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成三年分の正規の所得税額九四二万四七〇〇円との差額八三三万四七〇〇円を免れ

第二  被告人徳島カム株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

一  平成三年五月一日から同四年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の所得金額は、五〇九二万九七二三円で、これに対する法人税額は、一八三一万八二〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち五〇七四万八三四五円を秘匿した上、同四年六月三〇日、前記徳島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八万一三七八円で、これに対する法人税額が三万五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額一八三一万八二〇〇円との差額一八二八万七七〇〇円を免れ

二  同四年五月一日から同五年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の所得金額は、二二四四万九六〇七円で、これに対する法人税額は、七六四万八六〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち二二二五万四二七三円を秘匿した上、同五年六月三〇日、前記徳島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一九万五三三四円で、これに対する法人税額が四万四八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額七六四万八六〇〇円との差額七六〇万三八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

(括弧内の番号は、証拠等関係カードの検察官請求証拠番号を示す。)

判示全部の事実について

1  被告人及び被告人会社代表者河野誠介(以下単に「被告人河野」という。)の

(1)  第一回公判調書中の供述部分

(2)  公判供述

(3)  検察官調書三通(68、69、71)

(4)  大蔵事務官に対する質問てん末書一一通(49ないし54、56、57、65ないし67)

(5)  申述書二通(72、73)

2  河野清子の

(1)  検察官調書(44)

(2)  大蔵事務官に対する質問てん末書五通(36、38ないし40、43)

3  大西仁幸の大蔵事務官に対する質問てん末書(45)

4  領置てん末書(2)

判示第一の事実について

5  被告人河野の

(1)  大蔵事務官に対する質問てん末書八通(58ないし64、70)

(2)  申述書二通(74、75)

6  河野清子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(41、42)

7  告発書(1)

8  被告人河野の

(1)  平成元年分の所得税の確定申告書等綴(平成七年押第一〇号の1)

(2)  平成二年分の所得税の確定申告書等綴(同号の2)

(3)  平成三年分の所得税の確定申告書等綴(同号の3)

9  脱税額計算書三通(6ないし8)

10  売上調査書(9)

11  賃貸収入調査書(10)

12  運賃調査書(11)

13  減価償却費調査書(12)

14  材料費調査書(13)

15  外注加工費調査書(14)

16  工具費調査書(15)

17  未納事業税調査書(16)

18  簿外経費調査書(17)

19  専従者給与調査書(18)

20  青色申告控除調査書(19)

21  専従者控除調査書(20)

判示第二の事実について

22  被告人河野の大蔵事務官に対する質問てん末書(55)

23  河野清子の大蔵事務官に対する質問てん末書(37)

24  告発書(21)

25  被告人会社の定款(22)

26  被告人会社の法人税確定申告書二通(平成七年押第一〇号の4、5)

27  脱税額計算書二通(25、26)

28  売上調査書(27)

29  発送運賃調査書(28)

30  減価償却費調査書(29)

31  売上値引調査書(30)

32  支払手数料調査書(31)

33  賃借料調査書(32)

34  未納事業税調査書(33)

35  受取利息調査書(34)

36  利子割調査書(35)

37  商業登記簿謄本(48)

(法令の適用)

被告人河野誠介について

罰条

第一の各行為 所得税法二三八条

第二の各行為 法人税法一五九条、一六四条一項

刑種の選択 懲役刑及び罰金刑

併合罪の処理 懲役刑につき、平成七年法律第九一号附則二条一項本文による改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情により最も重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき、前記改正前の刑法四五条前段、四八条二項

労役場留置 罰金刑につき、前記改正前の刑法一八条

刑の執行猶予 懲役刑につき、前記改正前の刑法二五条一項

被告人徳島カム株式会社について

罰条

第二の各行為 法人税法一五九条、一六四条一項

併合罪の処理 前記改正前の刑法四五条前段、四八条二項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 樋口隆明)

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